O F F M E E T I N G / S H A R E

Claudeくんに
「留守番AI」を
仕込んだ話

〜スマホで写真1枚送るだけで、
メルカリ出品がぜんぶ終わる仕組みを
作った2日間の物語〜

P R O L O G U E

「メルカリ、めんどうくさい」から始まった

メルカリで何かを売ろうとすると、地味に大変です。まず写真を撮って、商品名を考えて、他の人がいくらで売ったか調べて、説明文を書いて、カテゴリを選んで、配送方法を決めて、価格を入れて、下書きに保存して、やっと出品ボタン。1つ売るのに30分かかることもあります。

この作業、AIが代わりにやってくれたらいいのに ─ そう思ったところから、この2日間の物語がはじまりました。

コンビニのバイトに例えると、お店の裏で「値段調べ」「値札書き」「棚出し」「レジ準備」を全部やってくれる新人さんがいて、あなたは「いらっしゃいませ」と言うだけ。そんな仕組みを作れないか、という話です。

やりたかったのは、
「スマホで写真1枚送るだけ」で
全部おわる世界。

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キットを、
Claudeくんに渡してみる

りょうさんは以前、「メルカリ出品キット v1」というものを作っていました。これはスマホからClaudeくんに写真を送ると、下書きまで作ってくれるという道具箱です。ただし、写真の追加だけはスマホから手動でやる必要がある、というちょっと惜しい仕様でした。

まず、その v1 を留守番のPC(家に置きっぱなしのMac)にインストールするところから始めました。

Claudeくんに「魔法のレシピ本」を渡すイメージです。本にはこう書いてあります。「メルカリと聞いたら、まず作業フォルダを作って、写真を保存して、それからブラウザを開いて…」。本の指示通りに動けば、Claudeくんはメルカリ出品の作業員になれる、というわけです。

設定は3ステップだけ。「レシピ本をコピーする」「作業フォルダを作る」「ルールブックを置く」。全部Claudeくん自身が自動でやってくれるので、りょうさんは見ているだけでした。

この日、覚えた言葉

スキルClaudeくんの「十八番リスト」。「こういう仕事が来たら、こう動く」という手順書。今回は「メルカリ出品」の手順書を渡した。
留守番PC家に置きっぱなしにして、電源つけっぱなしにしたPC。あなたが外出中も、Claudeくんが起きていて働いてくれる。
Claude in ChromeClaudeくんの「手足」。Chromeブラウザを操作する拡張機能。これを入れると、Claudeくんがメルカリのサイトを自分で開いて入力できる。
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試しに4回、
本を出品してみたら

導入したキットが本当に動くのか、りょうさんの手元にあった4つの商品でテストしました。

スマホからClaudeくんに写真を送って「メルカリに出品して」と言うと、たしかに動きます。相場を調べて、タイトルを考えて、下書きに保存してくれる。下書きが4つ、ちゃんと並びました

でも、ここで問題が見えてきました。写真は「NO IMAGE」のままなんです。実物写真も、加工した写真も、下書きに1枚も入っていない。スマホから自分で写真を追加する必要がある。

通販の梱包バイトくんが、箱に商品タグは貼ってくれるけど、「箱に商品を入れるのはあなたね」と言ってくるようなもの。あと一歩、と思いました。

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「写真だけスマホから」
という壁

じゃあ、写真もClaudeくんが自動でメルカリに貼ってくれればいいじゃないか。そう思ってやってみたら、そこには3つの見えない壁がありました。

壁その1:メルカリが写真を受け取ってくれない

PCの中にある写真をブラウザに「はい、これ」と渡そうとしても、メルカリのページが「え?なに?」という反応で、何も起きません。

会員制のお店の入り口のようなイメージ。ドアの前に立って「荷物置きに来たよ」と言っても、正規の合言葉じゃないと、ドアが開かない仕組みになっていました。

壁その2:「近所の人」と名乗ると入れない

PCの中で写真を配達しようとすると、メルカリが「あなた、どこから来た人?」と身元を聞いてきます。「この家の中から」(= localhost という表現)と答えると、なぜか怒られる。

同じ人なのに、名乗り方で扱いが変わるビル。「近所のヤマダです」と言うと守衛に止められるけど、「住所●●番地のヤマダです」(= 127.0.0.1)と正式住所で言うと、すっと通してくれる。名乗り方だけの差で、扱いがまるで違いました。

壁その3:ChatGPTくんが仕事を持って帰ってくれない

ChatGPTくんに写真を作ってもらった後、その写真をこちらに持って帰ってもらいたい。でも、こっちから「その写真ちょうだい」と手を出しても、ChatGPTくんの手前に見えないバリアがあって、渡してもらえない。

写真加工屋さんに頼んだ写真を、店員さんが「これ、お客さんが直接持って帰ってください、僕たちからは渡せない決まりです」と言ってくる感じ。仕方ないので、お客さん(=Claudeくん)が「ダウンロードしまーす」と自分で持ち帰るしかない、とわかりました。

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壁のむこうへ ―
3つの抜け道を見つける

この3つの壁、どうやって越えるか。半日、Claudeくんと一緒にああでもないこうでもないと試して、抜け道を見つけました。

抜け道その1:正式な住所で名乗る

「近所のヤマダ」(localhost)ではなく「●●番地のヤマダ」(127.0.0.1)と名乗るだけで、メルカリのビルを通してくれる、とわかりました。同じPCなのに、名乗り方だけで結果が違うのが不思議で、でも動くならOK。

抜け道その2:メルカリの「裏口の鍵」を借りる

メルカリのページには「正面玄関」と「裏口」があります。正面から「荷物です」と渡そうとしても受け取ってくれないのですが、裏口の関係者専用ドアからそっと差し出すと、あっさり受け取ってくれる。この「裏口の鍵の場所」を見つけたのが、この日いちばんの発見でした。

抜け道その3:ChatGPTくんに「ダウンロードごっこ」してもらう

ChatGPTくんから写真を受け取れないなら、ChatGPTくん自身に「ダウンロードボタンを押す」動きをしてもらうことにしました。人間がダウンロードするのと同じ動きなら、バリアの外なんです。Claudeくんが「ダウンロードごっこ」の号令をかけると、写真が「ダウンロードフォルダ」に自動保存される、という仕組みが完成しました。

3つの壁は、
3つの「なるほど、そう来たか」で越えられた。

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ChatGPTに
「商品写真」も作ってもらう

メルカリの商品写真って、白い背景できれいに撮られたやつと、生活感のあるおしゃれな雰囲気のやつと、両方あると売れやすい気がしませんか?

りょうさんは事前に、ChatGPT側に「メルカリ画像生成Ver1.1」というお店を作っていました。写真を1枚渡すと、この2種類の商品写真を勝手に作ってくれる、専門店です。

個人経営の写真加工屋さんのイメージ。「メルカリ用に2種類作って」と言わなくても、写真だけ持ち込めば店主が勝手に「はい、白背景用と雰囲気用ね、30秒待って」と言って作ってくれる。むしろ余計な注文をすると「そういうのは対応してないから」と断られるので、黙って写真だけ渡すのが正解でした。

これで完成した「写真3枚セット」がこれです:

  1. 1枚目:あなたの実物写真(撮ったそのまま)
  2. 2枚目:白背景のきれいな商品写真(ChatGPTが生成)
  3. 3枚目:生活感のあるおしゃれな雰囲気写真(ChatGPTが生成)

説明文には自動で「2枚目・3枚目は加工画像です」と書かれるので、購入者に誤解を与えることもありません。1枚目は必ず実物写真、というのが、この仕組みで大事にした「守る線」でした。

💡 ここでの学び
AIに何かをお願いする時、プロンプト(指示文)を凝れば凝るほどいい、とは限らない。ちゃんと作られた「専門店」なら、注文を最小限にした方が動く。逆に、色々指示を書くと「その依頼、うちでは受けられません」と断られる。「黙って写真だけ渡す」の勇気が、いちばん強かったです。

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キットを
「みんなに配れる形」にする

ここまでで、留守番PCが1台、写真1枚から下書き3枚を自動で作れるようになりました。1つの商品あたり8分。売っている物が10個あっても、80分放置しておけば全部下書きが並ぶわけです。

でも、これを自分だけで使うのはもったいない。同じ悩みを持ってる人はたくさんいる。じゃあ配れるようにしよう、という話になりました。

3段階で「配れる形」に整える

  1. 手順書を「レシピ本」にまとめる

    Claudeくんに教えた手順を、他の人のClaudeくんにも渡せる形の本にする。「留守番AIになるレシピ集」。

  2. 本をGitHubという「書店」に並べる

    GitHubは、世界中のプログラマーが自分の作ったものを並べる書店のようなもの。「Tagaru05のメルカリキット」という名前で本棚に置くと、URLひとつで誰でも取り寄せられる。

  3. 「使い方ガイド」というパンフレットも作る

    本を渡す前に「これはこういうものです」を伝えるパンフレット。Cloudflareという印刷屋さんに預けると、URLで公開してくれる。tagaru-mercari-kit-guide.pages.devで誰でも読めるようになりました。

今回できたのは、「Claude Codeでメルカリを自動化するキット」を1袋にまとめて、店頭に並べる」ところまで。友達に「これ使ってみて」と言った時、URL1つ渡せば全部通じる状態です。

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「配りやすさ」の
一貫性を守る話

公開する時、実は選択肢が2つありました。ClaudeのArtifactという機能で「30秒で公開URLゲット」できる方法と、Cloudflare Pagesという「いつも使ってる印刷屋さん」で手間はかかるけど正式に公開する方法

Claudeくんは最初、Artifactで即公開してくれました。でも、りょうさんはこう聞き返しました:「Cloudflareとなにがちがう?」

同じ「配布URL」でも、ClaudeのArtifactは「Claudeの店で見せる」感じ、Cloudflare Pagesは「自分のお店で見せる」感じ。今までのりょうさんの作品はぜんぶ後者で公開されていて、いま並んでるものはこう:

ここに1つだけ「Claude店」で並ぶのは、なんだか浮く。「らしさ」の一貫性が消える。だから、手間をかけてでも Cloudflare で公開しなおしたい、という判断でした。

配布URLは、
「なにを配るか」だけじゃなくて
「どこに並べるか」も、意味を持つ。

結果、Cloudflare Pagesでtagaru-mercari-kit-guide.pages.devとして公開されました。同じデザインテイスト、同じドメイン、同じ「タガルさんのお店の一員」として並びました。

💡 ここでの学び
技術的にどっちも「動くURL」であることは同じでも、受け取る側の印象は違う。「速い」だけで選ぶと、そこの一貫性を落としてしまうことがある。速さと一貫性、どっちを取るかは、その時々で選べるということ。

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また試したら、
また罠があった

手順書ができ、GitHubに公開し、パンフレットまで用意した。じゃあ本当に動くか、もう1回本番テスト。りょうさんの手元にあった「話し方革命」という本で、スマホから写真を1枚送るところから、やってみました。

そしたら、また新しい罠が見つかりました。

面白いのは、この罠たちは初回テストの4件では出てこなかったということ。実運用してみて初めて、本当の手順書ができる。作った時点で完成、と思っていたら見逃していた罠が、いくつも見つかりました。

料理本を書いてから、実際に台所で作ってみて初めて「あ、この鍋のサイズだと吹きこぼれる」「この計量だと辛すぎる」がわかる、みたいなことです。書斎で書いた手順書は仮免許で、実運用がついてはじめて本免許になる。

見つかった罠は、全部「手順書の禁じ手表」に追加して、キットを v2.0 から v2.1にアップデート。GitHubの本棚の本も更新しました。同じURLで、中身がバージョンアップした状態です。

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「キットを育てる型」を、
型にする

ここまでで気づいたのは、今回やった一連の流れ自体が「型」になっているということでした。

  1. 実運用してみる
  2. 罠を見つける
  3. ローカルの手順書を直す
  4. GitHub本棚の本にも同じ修正を反映
  5. 秘密の情報が混ざってないかチェック
  6. コミット・公開
  7. 台帳(作品一覧のメモ)に「バージョン上げましたよ」を記録

これ、次に別のキット(LINEスタンプおまかせセットとか、LINE版のメルカリキットとか)を更新する時にも、まったく同じ流れで使えます。だからこの流れ自体も、Claudeくんの「十八番リスト」に追加することにしました。

今回できたもの、まとめると4つ

道具を作ることと、
「道具の育て方」を作ること。
両方が、たぶん大事。

・ ・ ・

参加者のみなさんへ

今日話した「壁と抜け道」って、実はメルカリ以外の場面でも同じことが起こります。ChatGPTに何かお願いする時、Cloudflareに何かを公開する時、Claudeに何かを覚えてもらう時 ─ どれも「合言葉が違うだけで動かない」「専門店には注文を減らした方がいい」「配布URLは中身より並べる場所」みたいな話は、いろんな場面で顔を出します。

「壁があったら、抜け道を3つ探す」くらいの気持ちで、いろいろ触ってみてください。

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